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もくじ
キラウエア・カルデラ(キラウエア火口)地図
ハレマウマウ火口 Halemaumau Crater
2021年9月30日、4か月ぶりにハレマウマウ火口が再噴火。新しい見学場所「ウエカフナ」から湖面が少し見えるようです。(2021年10月13日現在)
激変中のハレマウマウ火口(2020年12月)
2018年に大きく形を変えてしまったハレマウマウ火口。そして、2020年12月に再噴火!めまぐるしく変わっているせいで、ネット上の情報も古くなっており、どれが正しいのか混乱しそうです。
2018年4月までのハレマウマウ火口
ハレマウマウ火口(2017年7月/空撮)
直径900m、深さは約80m。オーバールック・クレーターと呼ばれる溶岩湖を抱えながらも、穏やかな火口でした。夜間は火口が赤く染まり、観光客にも大人気。
しかし、2018年5月に爆発的噴火を起こします。
その後も繰り返される噴火と地震により、ハレマウマウ火口の縁は崩壊を続けて巨大化。噴火から、たった数ヶ月。カルデラも含めてハレマウマウ火口は、とてつもない変貌を遂げることに。
2018年8月〜2020年12月のハレマウマウ火口
激しかった火山活動が 2018年8月初旬にパタリと止み、落ち着きを取り戻したハレマウマウ火口。人気だった溶岩湖は、もうありません。
ハレマウマウ火口(2018年8月6日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
2019年8月には、火口に水が湧き、数ヶ月を経て池から湖に成長。溶岩が再びここに戻る際、この水(地下水)と触れて水蒸気爆発を起こす懸念が出ていました。
ハレマウマウ火口の池(2020年11月11日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
2020年12月20日 噴火
ハワイ時間 2020年12月20日 午後9時半頃、噴火。
懸念されていた水蒸気爆発もなく、あっさりと。爆発で被害が出なくて安堵。湖の水は、一気に蒸発してなくなったそうです。
ハレマウマウの溶岩湖(2020年12月25日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
ハレマウマウ火口に溶岩湖が戻ってきました。しかも、以前より大きい!しかし、湖面は火口の深部(火口の縁の観測地点から 452m下)にあり、直接見ることはできません。(2020年12月26日時点)
ハレマウマウに、こんなに早く溶岩が戻ってきてくれるなんて…!本当に嬉しいことです。半分諦めていましたから。
ただ USGSによると、キラウエア火山では溶岩の噴出口が湖面に覆われると、1回目の噴火が終わることが多いとのこと。そろそろ止まっちゃいそうなんですよね。
最新の情報は Twitter でつぶやいていますので、ぜひフォローしてみてください。
ウェブカムでチェック!
最新情報は、USGS(アメリカ地質調査所)のWEBサイトで確認できます。ウェブカムでハレマウマウ火口の現在の姿も見られますよ!
参考サイト
USGS-Hawaiian Volcano Observatory
2021年5月26日 噴火終了
2020年12月20日から噴火していたハレマウマウ火口ですが、とうとう止まってしまいました。5ヶ月間くらい噴火していたことになります。
次の噴火はいつになるか!?乞うご期待です。
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ハレマウマウ火口が見られるスポットの紹介!
各展望台からのビューと溶岩湖(2020年12月現在)の位置関係を確認してみました。
スチーミング・ブラフ
カルデラの崖っぷちから水蒸気が立ち昇るスポット、スチーミング・ブラフ。雄大なカルデラとハレマウマウ火口を見渡せます。
スチーミング・ブラフより
溶岩湖(2020年12月) & スチーミングブラフからのビュー
ピンクで囲った部分が同じ場所かと。もし、間違いがあったらご指摘ください。
溶岩が見えるようになるのは、いつのことか。
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ボルケーノハウスの展望台
少し遠目ですが、スチーミング・ブラフと似たハレマウマウとカルデラの姿を見渡せます。木が伸びてくると、邪魔で見づらくなるかも。
ボルケーノハウスの展望台より
溶岩湖(2020年12月) & ボルケーノハウスからのビュー
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ボルケーノ・ハウス » キラウエア火山の崖っぷちに建つ絶景ホテル
カルデラ南の絶景スポット
皆があまり知らない穴場絶景スポット。場所は、ケアナカコイ・クレーターのすぐ近く。火口の縁までの距離は近く感じますが、カルデラ北側よりも標高が低いのがネック。
カルデラ南の絶景スポットより
溶岩湖(2020年12月) & ケアナカコイ方面からのビュー
やはり、他の場所に比べて見える部分は浅め。
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キラウエア展望台
展望台の中では最も標高が高い。現在、ハレマウマウを一番間近に見ることができ、噴火当時の荒々しさを感じられるであろう場所。(2018年の噴火以降、まだ行けていないので想像です。すみません。)
Repairs are pau! Kīlauea Overlook will reopen for the 104th @NatlParkService birthday on 8/25/20! It's been closed since the #Kīlauea2018 eruption, and the changes are staggering. Before 2018 on left, today on right, details here: https://t.co/pBcOgYs0aP NPS Photos. #FindYourPark pic.twitter.com/5qyGzS9KvL
— Hawaii Volcanoes NPS (@Volcanoes_NPS) August 22, 2020
昼間の写真では、見え方は少々微妙?
柵が、崖っぷちから遠いのかもしれないですね。
Saturday is the 2-month anniversary of #Kīlauea's new eruption that began 12/20/20. Now the #MilkyWay is here.
— Hawaii Volcanoes NPS (@Volcanoes_NPS) February 18, 2021
Eager to see the galaxy above and the glow below? Set your alarm. This was taken just after 4:30 a.m. Tuesday from Kīlauea Overlook.
NPS Photo#RecreateResponsibly pic.twitter.com/sLyOn1EPDf
夜は素晴らしいですね。天の川と火映が美しい。
2018年のハレマウマウの崩れっぷりを見守ってきた者からしたら、崖には絶対に近寄りたくないです。(映像はこちら)キラウエア展望台のすぐ傍のジャガーミュージアムも、岩盤に亀裂が入ってしまって閉鎖されたわけですし。
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キラウエア展望台 » ハレマウマウ火口を最も近くで堪能できる
Waldron Ledge(ウォルドロン・レッジ)の展望台
「Waldron」の読み方は、ウォルドロン?(それともワルドロン?)違っていたらスミマセン。
歩いたことがないどころか、名前も知らなかった場所。国立公園のツイートで知りました。ボルケーノハウスからキラウエア・イキ方面にクレーター・リム・トレイルを8分程歩くと、展望台があるようです。(Googleマップによる計測)
ボルケーノハウスに比べると、ハレマウマウに若干近いです。
Waldron Ledge is open! Check out the changes at Kīlauea summit between today (left) and 2008. The 2018 eruption gave us entirely new views. If you go, please #RecreateResponsibly https://t.co/0RqYY1tsHI
— Hawaii Volcanoes NPS (@Volcanoes_NPS) October 17, 2020
NPS Photos pic.twitter.com/YeIq6YAAkw
ツイートの写真を拝見すると、上で紹介した有名な場所よりも、ハレマウマウの深い部分が見えています。微々たる差ですが。次回、行ってみたいと思います。
混雑も避けれそうですし、ゆっくり見るのにも良さそう。ただ夜は、真っ暗で怖いですよね。オススメしてはいけない場所かもしれません。行くとしても、ライトは忘れずに。
Waldron Ledge Overlook / ウォルドロン・レッジ展望台 MAP
火山の女神ペレの住処
ハレマウマウ火口は、ハワイアンにとって大変神聖な場所。火山の女神ペレが、住んでいる場所だと伝えられています。
ハレマウマウ展望台があった頃は、展望台の片隅に、ペレへの捧げものが絶えず置かれていました。
火山の女神ペレ(ジャガーミュージアムにて)
上の写真は、ジャガーミュージアムに飾られていたペレの絵。ペレは、キラウエア火山とは切っても切れない大きな存在です。「ペレの涙」や「ペレの髪の毛」など、その名を冠された溶岩があるほど。
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ハレマウマウ火口の変遷
時代とともにハレマウマウ火口は、その姿を少しずつ変化させてきました。今まで載せていた記事を記録として残しておきますね。
2008年3月以前 / ハレマウマウ展望台
2008年3月以前、ハレマウマウ火口の縁には展望台があり、間近で火口内を見渡すことができました。
2018年のハレマウマウ火口の噴火により、その痕跡すらなくなってしまいましたが、在りし日のハレマウマウ展望台の様子です。
展望台ではフラの儀式が行われ、レイやティリーフ等、ペレへの捧げ物が絶えません。その捧げ物を狙ってか、ハワイガン「ネネ」が展望台で遊んでいることもしばしば。その姿を見るのも楽しみの一つです。
捧げ物とネネ(2004年9月)
ハレマウマウ展望台は、キラウエア・カルデラの一番の名所。辺り一帯からは水蒸気が吹き出ており、火山らしい迫力のある断崖を拝めます。特に雨の日は一段と水蒸気が濃く幻想的。
雨の日(2005年9月)
晴れの日は、とても爽快!
ハレマウマウ火口とペレへの捧げ物(2006年9月)
展望台は駐車場からほんの少しだけ離れています。ハレマウマウ・トレイルの一部を歩いて向かいましょう。トレイル周辺では硫黄臭が漂い、草木は殆ど見られません。硫黄で地面が黄色く染まった様子など、火山の迫力を十分味わえます。
2008年3月 / 水蒸気爆発
2008年3月19日、ハレマウマウ火口が噴火しました。水蒸気爆発を起こしたのです。
その衝撃で噴石や火山灰が周囲にたくさん降りました。中には1メートル近いサイズの岩も飛んできたのだとか。その際、爆発箇所の縁の上にあったハレマウマウ展望台はフェンスの一部が破壊されました。
爆発時、ハレマウマウ火口内に形成されたクレーター(2008年3月19日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
噴煙を吐くハレマウマウ(2008年3月24日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
当時の様子は下記サイトにて確認できます。
参考サイト
HVO(ハワイ火山観測所) > Multimedia Archive(March 2008)
一時は茶色かった噴煙はしばらくして白煙に変わり、その活動は落ち着きました。しかし火山ガスは大量に排出し続けています。火口の縁にあったハレマウマウ展望台は閉鎖されてしまいました。
2008年3月~2018年4月 / オーバールック・クレーターが人気!
2008年3月の噴火時、ハレマウマウ火口の中に新しくベント(噴気孔)が形成されました。
このベントはオーバールック(ハレマウマウ展望台)のすぐ下にできたため、非公式ながら USGS HVO では「オーバールック・クレーター」と呼ばれています。
ハレマウマウ火口内のオーバールッククレーター(2017年7月/空撮)
オーバールッククレーターは、いわゆる溶岩湖。
その湖面水位はクレーターの縁から 30~50m下と低く、ドロドロ溶岩を見ることはなかなかできません。ヘリツアーなど高度のある上空は別として、一般的な見学場所(ジャガーミュージアムの展望台)では高度が足りず、角度的に難しいんですよね。
それでも、辺りが暗くなると赤く光る火口を拝むことができます。
火映(かえい)
火口が赤く染まる「火映」
赤く光っている部分は、火映(かえい)という現象。溶岩そのものの光ではありません。火口底に溜まるマグマの光が噴煙や火口の縁に反射して、火のように赤く染まります。
しかし、昼間は明るすぎるため火映は見られません。「火口見学は夕方が良い。」と言われているのは、このためです。
溶岩湖
溶岩湖を近くで見るとこんな感じ。
オーバールック・クレーターの溶岩湖(2015年3月10日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
湖面を覆う黒い溶岩に、ピリピリと刻まれている赤いヒビ割れが不気味。想像の溶岩湖とは違って少し大人しいですね。表面は冷えて黒く固まりつつありますが、ゆっくりと動いています。
稀に溶岩湖の水位が上がり、ジャガーミュージアムから湖面を見られることもあるんですよ!
溢れ出た溶岩(2015年5月7日): この後すぐに湖面水位は下がってしまった
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
時には、ハレマウマウのフロアに溢れることも。このように、溶岩湖の湖面水位は常に変化しています。
2018年5月~8月初旬 / 爆発的噴火
2018年4月中旬、溶岩湖の湖面水位が上がり始めました。4月下旬には、溢れる程の絶好調ぶり。
溶岩が溢れている様子(2018年4月22日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
湖面水位は5月2日まで高い水準をキープ。しかし5月3日、一転して急激に下落。同じ日、プウオオ火口が大きく噴煙を吐き、翌日にはレイラニ・エステートでの割れ目噴火が始まります。ここからキラウエア火山の目まぐるしい変化が始まりました。
レイラニ・エステートの噴火後は、そちらにマグマを吸い取られるかのように、溶岩湖水位は毎日継続して下落。ついには、マグマが地下水に触れて水蒸気爆発を起こす可能性のある危険な深部まで落ちてしまいました。
そして起こった爆発的噴火。5月17日のことです。
爆発後のジャガーミュージアム展望台(2018年5月17日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
オーバールッククレーターは、崩れて無くなってしまいました。火口は岩石や灰で埋まっているため、灼熱の溶岩が空を赤く染める幻想的な「火映」は、もう見られません。
ハレマウマウ火口(2018年6月12日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
ハレマウマウ火口は、この後も噴火と地震を繰り返し、火口縁を崩壊させながら巨大化。噴火と地震が止む8月初旬まで、崩壊が続きました。
最終的に落ち着いたのがこの形。(背景に見える噴煙のようなものは、マウナロアで起こった山火事の煙。)
カルデラとハレマウマウ火口(2018年8月7日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
ガタガタです…!
ハレマウマウ火口の激変ぶりを映像で
ハレマウマウ火口の激変ぶりが映像になっているので、紹介しておきます。地盤がズルズルと沈んでいく様子がスゴイ。
これは、USGS(アメリカ地質調査所) が、ハワイ火山観測所で撮影された写真をタイムラプス処理したもの。2018年4月14日から2018年8月20日までの動きです。
公式サイトに、元データがアップされているのでリンクを貼っておきますね。
USGS公式サイト
USGS: Volcano Hazards Program HVO Kilauea(2018年8月28日の記事を検索)
2019年8月~2020年12月 / ハレマウマウ温泉
2019年8月1日、火口底に水が湧き出しているのが確認されました。別の日のサーマルカメラの画像によると、水温は70度。
注:公式では、そんな呼び方はされていません。
ハレマウマウ火口の池(2019年8月22日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
綺麗な青緑色ですね。
この池の水量は次第に嵩を増し、3ヶ月後には、こんなに大きくなりました!
2019年11月21日
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)
1年3ヶ月後
ハレマウマウ火口の池(2020年11月11日)
[Public Domain] U.S. Geological Survey (HVO)